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Vol.04 アドバイザーナビ株式会社 「IFAビジネスを通じて金融の健全性を高める」

2021.07.12

アドバイザーナビ株式会社 代表取締役社長 平行秀氏、代表取締役 松岡隼士氏

「IFAビジネスを通じて金融の健全性を高める」

 

– FinGATE テナントインタビュー Vol.04 –

 

街の再開発が進み、新しい情報・文化の発信基地として、そして資産運用・Fintech等の金融系スタートアップの集積地として注目されつつある日本橋兜町・茅場町。ここに今、金融系スタートアップの起業・成長を支援するインキュベーション施設「FinGATE」があります。現在、FinGATE BASE、FinGATE KABUTO、FinGATE KAYABA、FinGATE TERRACEの4施設が整備されており、約50社の金融系スタートアップが入居しております。

それぞれの会社の今と未来、そしてFinGATEや日本橋兜町・茅場町に寄せる想いと期待について、話を伺ってまいります。

第4回目はIFA業界において、金融人材コンサルティングや富裕層とIFAのマッチングなど、IFA業界の総合コンサルティング業務を行うアドバイザーナビ株式会社代表取締役社長の平行秀さんと、共同創業者で代表取締役の松岡隼士さんのお二人に話を伺いました。

アドバイザーナビの事業内容については、こちら。

ご経歴について教えてください。

  2011年に野村證券に入社し、新宿野村ビル支店に配属された後、滋賀県の大津支店に転勤となり、海外修練制度でロンドン、帰国してさいたま支店、野村證券を退職後香港でファンド関連のビジネスに携わった後、この会社を立ち上げました。

松岡 2012年、野村證券に入社して横浜支店、秋田支店、本社勤務を経て独立し、アドバイザーナビの創業に参画しました。

お二人は野村證券で知り合ったのですか。

  松岡が私の大学時代のゼミの後輩という関係です。

事業内容について教えて下さい。

  大枠としては、IFAに関連したソフト面を全て担っています。具体的にはコンサルティング業務、ヘッドハンティング、転職支援、さらには富裕層とIFAのマッチングなども行っています。

松岡 金融資産1億円以上を持っている富裕層で証券会社と付き合っている人たちが不満に思っていることの1つとして、自分自身で担当者を選べないことがあげられます。

営業に来る担当者が複数人いれば、その中から誰かを指名することも出来ますが、それだって自分のところに通ってくる営業担当者の中からしか選ぶことが出来ません。しかも、たまたま優秀な営業担当者についてもらったとしても、日本の証券会社の場合、3年に1度くらいの頻度で転勤があります。

資産を築くのは非常に尊いことなのに、そのパートナーを選べないという現状を変えていかない限り、世の中は豊かになりません。そういう想いもあり、IFAをサポートするのに必要なサービスを提供していきたいと考えています。

なぜ現在の業務内容で起業してみようと思ったのですか。

  野村證券時代に富裕層のマネジメントを10年にわたって担当させてもらってきた中で、富裕層の意見を私たちは聞いてきました。日本には現在、1億円以上の金融資産を持っている富裕層が130万世帯以上いる一方で、金融庁が発表しているNPSアンケートの結果等を見ても既存の金融機関の対応に投資家は満足しているとは言えません。

松岡 130万世帯もの富裕層が自身の資産運用・管理に満足するためには、IFAのスキル向上、優秀なIFAと顧客のマッチングといったサービスの立ち上げは喫緊の課題です。

またIFAの側からすれば、マッチングサービスを活用することによって、これまで顧客化のため営業に割いていた時間を節約でき、その分を運用スキルの向上に充てられるようになります。

IFAに対してどのような期待を持っていますか。

  今、証券営業に携わっている人は、IFAも含めて8万人いるのですが、このうちIFAの人数はわずか4000人です。現在、何らかの形で証券営業と付き合っている個人のうち6割の人は、受けているサービスの内容に対して不満を抱いています。

理由はプロダクトプッシュ型の営業や担当者の転勤が多いことだけでなく、顧客階層と提案内容にミスマッチが生じているのです。極端な話、数十億円の資産を持っている人に対して、オンライン証券会社で買える投資信託を勧めても響きません。

この点、IFAには転勤がありませんし、多くのIFAは富裕層メイン、資産形成層メインというように顧客ターゲットを絞ってアドバイス業務を行っていますから、顧客階層と提案内容のミスマッチも生じにくくなっています。IFAを活用する人が増えれば、証券営業に対する不満は徐々に解消されると思います。私たちもWealth Adviser Conciergeという金融資産1億円以上の富裕層と、経験豊富なIFAをマッチングさせるビジネスを立ち上げました。

松岡 個々のIFAが自分の得意とするお客様に特化していきますから、たとえばお医者さん専門のIFAとか、プロスポーツ選手専門のIFAなど、お客様のセグメントに応じた専門知識を持つIFAが、これからどんどん増えていくと想定しています。

IFAが増えることによって、証券市場などにはどのような影響が生じてくるでしょうか。

  日本の証券会社の機能は、投資銀行部門と営業部門の両輪で成り立っています。たとえば、企業が株式発行などによって資金調達する時、証券会社は発行株式の相当数を引き受けるのと同時に、引き受けた株式を大勢の投資家に販売することによって、企業の資金調達を成立させています。

この仕組みは、日本経済がどんどん成長していて、世の中全体が資金不足だった1990年くらいまでは機能していたのですが、逆に現在は企業は資金余剰となっており、企業が積極的に資金調達する必要性が低くなっています。

将来的に証券会社が自社で営業を抱えず、外部のIFAに販売委託する形が広まれば、IFAは真にお客様のためになる投資案件しか勧めないので、証券会社も必要性、必然性に欠けるファイナンスの案件には関わりにくくなります。結果的に金融市場の健全性を高めることにつながると考えています。

IFAが抱える課題は何ですか。

  証券外務員試験に合格していれば、誰でもIFAを名乗ることが出来ます。証券外務員試験は証券会社に入ると必ず取らされるライセンスですから、証券会社に勤めている人は誰もが持っています。つまり、IFAになるということは、この程度にハードルが低いのです。

誰でも開業できて、かつスキルの判定も困難です。コンプライアンスについても、各提携証券会社による研修があるとしても、証券会社間でのコンプライアンスレベルの違いは出て参ります。この点を今後、どうやって調整していくかが、課題ですね。

松岡 今、IFAとして活躍している人は、証券会社出身者が多いですが、今後は異業種からの参入も増えていくでしょう。そうなった時、コンプライアンスも含めてクオリティをしっかり担保できるかどうかが問われてくるでしょう。

FinGATEという場に対してどのような期待を抱いていますか。

松岡 今まで金融系スタートアップの集積地はどこにもなかったのですが、FinGATEという場が出来たことで、他の金融系スタートアップと出会い、協業できる環境が整ってきました。今、FinGATEには約50社の金融系スタートアップが入居していますが、そこに生まれている交流は何物にも代え難いほど貴重なものです。

  この50社の中には金融の世界で一流とされている人たちが大勢いますので、彼らと交流したり、ピッチを開いてもらったりという機会をいただけるのは、自分たちのビジネスにとって大いにプラスになっています。それと兜町はもともと証券の街でもあるので、いずれはIFA法人にもたくさん来てもらいたいですね。

兜町・茅場町という街にはどのような期待を抱いていますか。

  期待というよりも、私はもともとこの街が好きです。もともと住んでいたこともあるくらいですから。

松岡 兜町は渋沢栄一が日本で初めて銀行を興した土地です。渋沢栄一フリークの私としては、兜町から新しい金融を生み出していきたいと思います。

ご協力ありがとうございました。

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