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Vol.01 クラウドクレジット株式会社 「1つの国の中だけでは起きなかったような化学反応を起こす金融を提供する」

2021.03.31

クラウドクレジット株式会社 代表取締役 杉山智行氏

「1つの国の中だけでは起きなかったような化学反応を起こす金融を提供する」

 

– FinGATE テナントインタビュー Vol.01 –

 

街の再開発が進み、新しい情報・文化の発信基地として、そして資産運用・Fintech等の金融系スタートアップの集積地として注目されつつある日本橋兜町・茅場町。ここに今、金融系スタートアップの起業・成長を支援するインキュベーション施設「FinGATE」があります。現在、FinGATE BASE、FinGATE KABUTO、FinGATE KAYABA、FinGATE TERRACEの4施設が整備され、約50社の金融系スタートアップ等が入居しております。

それぞれの会社の今と未来、そしてFinGATEや日本橋兜町・茅場町に寄せる想いと期待について、話を伺ってまいります。

第1回目は、貸付型クラウドファンディング事業を運営されているクラウドクレジット株式会社の代表取締役 杉山智行さんにご登場いただきます。

クラウドクレジットの事業内容については、こちら

2013年1月に会社を設立されて今年で8年が経ちました。現状は創業当初から見ていかがですか。

杉山  第1号のファンドを立ち上げて6年半ほどになるのですが、おかげ様をもちまして累計出資金額は300億円に達しました。2020年は新型コロナウイルスの問題があり、オフラインでのセミナーが出来なかったり、経済低迷で融資先にデフォルトが発生したりと、やや逆風が吹きましたが、セミナーはオンラインに切り替えて参加者数は大きく伸びましたし、運用についても投資管理体制の強化で対応を行っています。

とはいえ、第1号ファンドのローンチから6年を経て累計融資額が300億円ですから、もう少し精進していく必要はあると考えています。これからも当社は投資管理体制を強化し続け、投資家のニーズに応えていきたいと思います。

直近の投資パフォーマンスはどのような状況ですか。

杉山  さすがにコロナ禍の影響を受けたこの1年は、ややファンドの運用成績は落ち込みました。コロナ前は年平均5%程度のリターンを生み出していたのですが、直近は年平均で2%程度です。

原因は為替の急激な円高進行によって為替差損が生じたこと、また業種や現地国における債務モラトリアム政府令などを通じてコロナ禍の影響を受けた融資先企業もあり、融資の返済が滞るケースは増えてしまいました。

これまでは当社は融資先企業の方向性に口出しは行わないハンズオフの姿勢で運営を行っていましたが、コロナ禍を通じて、融資先企業のバリューアップにつながることをできるのであれば企業運営にも、もっと積極的に意見をするというハンズオンのためのキャパシティを社内で作ることを進めています。

クラウドクレジットがステップアップしていくうえで必要な成長ドライバーについてはどう考えていますか。

杉山  ここ3~4年で投資して下さった方は、その8割が投資経験者でした。さまざまな資産クラスに投資している投資家が、プラスアルファの資産クラスで資産運用するために、弊社のファンドに投資するというパターンが増えています。

当社ではPayPayキャンペーンやSBIポイント・キャンペーンなど、株主様にもサポートを頂きながらのポイント・キャンペーンによってより多くのお客様に当社のサービスの利用をはじめていただくきっかけを作っていくことにも注力しています。

ただ、ここからさらにクラウドクレジットを成長軌道に乗せていくためには、別の成長ドライバーが必要になるのも事実です。そのためには投資未経験者に弊社の商品を知っていただき、1人でも多くの方に投資していただけるようにする必要があります。

その取組みの1つとして、社会的インパクト投資ファンドがあります。私たちは2018年1月から社会インパクト投資ファンドの販売を開始し、社会的課題の解決に取り組む企業への融資も積極的に行ってきました。

2020年5月には「共創投資」を掲げる丸井グループ様との資本業務提携も行いました。当社が培ってきた世界の社会課題を解決する企業に投資としての資金を届けるための運営ノウハウを、社会課題の解決を行う企業への投資が日本でも広がるエンジンとして活用して頂ければと思っています。

クラウドクレジットが目指す世界観はどういうものですか。

杉山  クラウドクレジットは、貸付型クラウドファンディング・サービスの運営を行う会社ですが、ミッションはあくまでも「世界を繋ぐ金融」を行うことです。資金需要者の方からみても、投資家の方からみても、1つの国の中だけでは起きなかったような化学反応を起こしていくことを、これからも大切にしていきたいと思っています。

その中で今回のコロナ禍の教訓として、もう少し安定した運用に舵を切ることを考えています。ご自身の資金によって新しい経済活動が生み出されたり、社会課題の解決が進められる手ごたえは、すでに今でも十分投資家の方に感じて頂けるのではないかと思います。しかし、投資したファンドが遅延や元本割れをしてしまうと、それを5年、10年またはそれ以上の期間続けようという意欲がおちてしまうかもしれません。

お客様に、より長い期間腰を据えて投資をしていただきやすい環境を兼ね備えたプラットフォームに深化をしていけるように精進していければ、と考えています。

そしてその先に、融資先分野のさらなる拡大が待っていると考えています。発展途上国におけるヘルスケア、教育、上下水道インフラ、家、ジェンダー、そして農業など、マイクロファイナンスや再生可能エネルギー事業以外のインパクト投資の機会も中期的にご提供ラインナップを増やしていければと考えています。

クラウドクレジットがFinGATEに入居されて3年半になります。FinGATEに対してどのような期待を持っていらっしゃいますか。

杉山  FinGATEは「金融×ベンチャー」にどんぴしゃなサポート施設として、これからも期待するところがたくさんあります。

当社が2017年に入居をさせて頂いた時はFinGATEはまだKAYABAしかなかったと思うのですが、今ではKABUTO、BASE、TERRACEもでき、それぞれのFinGATEがテーマを持っており、その施設にあった企業も異なるため、本当に様々な金融関係の企業さんがこの街に増えられたと思います。

ずっと金融の企業が活動する場を提供してきた街だからこそ、あたらしい潮流をつくるにあたってもテーマごとに金融の企業の気持ちを汲み取った施設がこれからも増えて、そのテーマに沿った金融の企業さんがこれからもFinGATEにいらっしゃるのではないかと勝手に想像しています。

日本橋兜町・茅場町という街に対する期待感はいかがですか。

杉山  現在はコロナ禍で当社も在宅勤務が主ですが、茅場町に期待することは中期的には実は変わっていません。

他の業種も同様かもしれませんが、金融業はお客様の資産をお預かりしてそれを保全しながらサービスの運営を行っていくため、日中はくたくたになるまで働くことが少なくありません。その中で、茅場町の落ち着いた雰囲気、お昼には、今は難しい時期ですが、体を落ち着かせられるランチをとれる場所も多いです。

古くはニューヨークのウォールストリート、ロンドンのシティ、東京の丸の内・大手町にみられるように、金融業はよく一定の場所に集積してきました。もちろん大きな金融事業者さんも茅場町に多く根付かれていますが、特に金融ベンチャー企業もこの地区にどんどん増えられて、実際にビジネスに結び付く出会いも増えていくのではないかととても期待しています。

コロナ後の働き方がどのようなものになるのかは分かりませんが、オフィス出社の頻度が減っても自宅の距離が都心から離れる方も増えると思うので、引き続き茅場町の立地 – 埼玉、千葉、神奈川、東京の西部のどこからもアクセスが悪くない立地は引き続きこの町の競争力であり続け、優秀な人材を惹きつけ続けられるのではないかと思っています。

ご協力ありがとうございました。

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